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「今日は稽古が休みの日なんです」
道場の中を見回しても、少年以外誰も見当たらなかった。
「して、沖田殿はいずこに?」
平助が聞くと、少年は木刀を持って言った。
「申し遅れました。私が試衛館天然理心流塾頭の沖田総司と申します」
沖田は、ひょいともう一本木刀を手に取り平助に手渡した。
「立ち合いは木刀で構いませんよね?」
平助は「はい」と返事はしたものの、少々驚いた。
この若さで塾頭を務めているとは、見たことも聞いたこともない。
あの噂は本当かも知れない。
沖田の妙な落ち着きが、さらに信憑性を増した。
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