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ドーン、ドーンと最初から数えて結構上がった花火は、まだ数がある。まだこいつとはサヨナラしなくていい。
そう思っても、瞳から雫は絶え間なく流れていく。
枯れる事はなく、尽きる事もなく、飽きる事もなく、ずっと流れ続いていく。
私達の間には、言葉は交わされる事はなかった。言葉が無駄に思える位に、雫がずっと流れていた。
こいつは雫が流れている間、ずっと私の髪を撫でていた。それが当たり前のようにずっと。
ずっと撫でていた。
分かっていた。
泣いても、叫んでも、嘆いても、呼んでも、待っても、こいつはもう二度と帰ってこない。
四十九日が過ぎたら、もう会えない。
分かっていた。
でも、この少しの間でもこいつといれて、良かったって思いたかった。
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