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「…ーか、ーさか」
誰?
「…おーさか」
あぁ、うるさいな。
寝てるんだから声かけないで。
ん…『寝ている』?
「逢坂ー、逢坂つゆり」
ガバッと体を起こすと周りからは注目を集め、先生もこちらを見ている。
一瞬で今の状況を理解して必死に言い訳を探すが、
頭が真っ白で出てきた言葉は
「ま、まだ寝てませんっ」
と変な回答にクラスからはドッと笑みが溢れる。
恥ずかしくなり、俯いた。
「逢坂、後で先生と一緒に教材運ぶの手伝ってなー」
先生も優しい人だったのでそれだけで終わり、授業が再開される。
再び教室が静寂に戻る。
物を書く時の音だけが聞こえた。
今だに火照る顔を上げ、今度は寝ないようにとチョークで書かれる言葉を追った。
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