17人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「つゆりちゃん、いい夢みれた?」
帰り道の途中、さっきから日依が寝てたことをからかってくる。
狛井日依(はくいひより)
この学校に来てから最初に友達になった女の子。
艶々の黒髪のロングストレートで胸の下あたりまである。肌は雪のように白い。
「もう!そんなに笑わないでよー」
ケラケラと笑いながら私達は帰っていた。夕暮れで頬を暖かなオレンジに染め上げる。
白い雲は重なり、空の彼方へと伸びている。
日依と別れを告げて、違う道を進む。
風が吹き木々が音をたて始める。
森の奥は暗く見えない。
不気味に感じた森を見ないように下を向きつつ早歩きをした。
するとポツリと地面に丸いしみが浮かび上がる。
いや正確には違う。
雨が降ってきたのだ。
空には千切れ雲がまとまり、少しだけ曇天。
太陽はまだ傾いていない。
じゃあこれは...
最初のコメントを投稿しよう!