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「狐の嫁入りだっ!!」
後ろで子ども達がはしゃいでる。きゃっきゃっと幼い声。
ふと私は前を見た。
気づくと私の少し前には男の子が立っている。
男の子…というより
つゆりと同じ学校の制服を来た男子生徒。
金色の髪が風になびく。
肩につかないくらいの髪の長さ。綺麗な蒼色の瞳は澄んだ空の色と同じ。横顔からでも伺えるほど顔立ちが整っている。
だが異様な光景に目を疑った。
彼の頭には金色の猫のような耳、そしてふわふわした金色のしっぽがあった。
空を見上げている。
つゆりには気付いていない。
私は呆然としてしまった。
子ども達が私を追い抜き彼のすぐ後ろを走っていく。
しっぽに当たったはずなのに透けて通った。まるでそこには初めから何もないように。
雨はもう止んでいて、金色の髪には雫が滴っている。
私は彼とすれ違う時にしっぽを触ってみた。
子ども達はしっぽには当たらなかった。
だからきっと私の勘違いのはず…。
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