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「大丈夫でしょうか?何かあったら好きな時に呼んで下さい」
おじいさんは素っ気なく声のする方を向くだけでした。
声のする方には、一体の人工ロボットが居ました。
一家に一台だけ、介護ロボットをおけるようになり、子供達は一人暮らしのおじいさんに介護ロボットをつける事にしました。
以前は、毎日、ニコニコと幸せそうに過ごして居たおじいさんは、おばあさんが亡くなり、足も不自由になってしまってから、あまり笑うことも、話す事もなくなりました。
おじいさんは、毎日、新聞を読み、庭を眺め、テレビを見る、そんな繰り返しでした。
介護ロボットは、外見上、人間と変わらない位の姿、音声、行動をします。
人間の感情に似たプログラムもされており、会話も人と変わらぬ位に出来ます。
しかし、おじいさんは所詮ロボットと思い、あまり相手にしませんでした。
朝、起きると、介護ロボットは朝食を作り、おじいさんの読む新聞を用意しています。
おじいさんは無言で朝食を食べ、新聞を読みます。
「大丈夫でしょうか?何かあったら好きな時に呼んで下さい」
おじいさんは人工ロボットをチラリと見るだけで、何も話しかけませんでした。
そんな生活が数年、続いたある日、おじいさんが起きるといつもの様に新聞が用意されていませんでした。
おじいさんは、まあロボットのやることだし、と思って気にも留めませんでした。
数ヶ月後、朝食の味付けが少し、変わっていました。
しかし、人工ロボットは流暢に「大丈夫でしょうか?何かあったら好きな時に呼んで下さい」と言いました。
おじいさんは、初めてロボットに、「味が少し変わった」と話しかけました。
人工ロボットは、すぐに作り直します、と言い朝食を片付けました。
作り直し、「大丈夫でしょうか?何かあったら好きな時に呼んで下さい」と言いました。
しかし、また数ヶ月すると、人工ロボットの動きが鈍くなっている事に気がつきました。
高い所にあるものが取れない、重い物を持てない、など。
始めは、おじいさんも見ているだけでしたが、少しずつ、人工ロボットの手助けをするようになりました。
「大丈夫でしょうか?何かあったら好きな時に呼んで下さい」と言うのに対し、おじいさんは、「大丈夫だよ。それよりも何か困ったら呼びなさい」と答えるようになりました。
ある日、子供達がおじいさんの家に集まり、おじいさんに言いました。
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