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「お願い。誰だか知らないけど、貴方に殺して貰わないと困るのよ」
初めて現れた日から半年が経った。
懇願する彼女の顔、ああ、やっぱり僕のタイプだ。
三年くらい前に見たテレビ。
客席で笑う彼女に一目惚れして、名も知らぬ彼女をずっとずっと想い続けて。
「お願いだから」
次に会ったのもテレビだった。
殺人事件の被害者として、彼女の顔が出ていたんだ。
「貴方の中に居る私を殺してくれないと」
成仏出来ないらしい。
このまま八ヶ月経ったら一生地縛霊だとかなんとか。
「あー、ごめんね」
幽霊さんには悪いけど、彼女は死んでない。
死んでないんだよ。
僕の中でずっと生きているんだ。
だから僕は絶対に彼女の死を受け入れない。
僕の中で、ずっと。
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