一章

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「あぁ、俺が試衛館で剣術を教えていた時の教え子だ」 「8年ぶりですね。お久しぶりです」 「いやー、随分大人っぽくなっていてわからなかったよ」 「8年前ってことは、私が試衛館に顔を出すようになる前か」 「そーだなぁ、ちょうど一華くんがいなくなってからだったから、入れ違いだったようだ」 「ちょうどいい。一華、お前京に行ってきなさい」 「私がですか...?」 「今新撰組では我々の力を必要としている。術師は皆出払っているし、お前が適任だ」 「...わかりました」 私は京へ出掛ける支度をし、お祖父様に挨拶をした。 「行って参ります」 「一華..あのことも忘れるでないぞ。...外はまだ暗いから、今日は特別に私が送ってやろう」 お祖父様は指を揃え、術を唱え始めた。すると、私たちは一瞬にして京まで飛ばされていた。 「さすがは桜木だなぁ」 近藤さんは驚く様子もなく、ただ関心していた。
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