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昔々、日本には人に悪さをする妖怪と、人を守る陰陽師がいた。
時代が変わるごとにその二つは姿を消していったが、ここにはまだその血を引くものがいた...。
「はぁぁ!」
「やぁぁ!」
道場内は木刀同士がぶつかり合う音が響き、試合をしている少年たちで賑わっていた。
しかしその隅で試合をしているのは、この試衛館で唯一の女の子。
「はっ!」
「そこまでっ」
少女は試合を終えると、満足そうに笑顔で両親の元へ駆けていった。
「お父様、お母様、私また勝ちましたよ!」
「えらいわ、一華。強くなったわねぇ」
「最後の試合にはとてもふさわしかったな」
「....うん」
そう、この試衛館には今日でお別れをしなければならない。
しばらく親の元を離れ稽古に励むと、今度はその両親の都合で遠くに行かなければならなくなったのだ。
「今日で一華ともお別れなのか」
「歳兄....」
「今日で君の憎たらしい顔が見なくて済むと思ったら、嬉しくてしょうがないよ」
「総ちゃん....」
私はどーしても寂しくなり、涙を流してしまった。
「泣くなよ一華。きっとまたどこかで会えるよ」
「平助...」
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