57人が本棚に入れています
本棚に追加
「お父様の考えは間違ってる!命はこの世に等しくあるもの。誰にも誰かの命を奪う権利はないわ!」
「なら我々はただ食われろと言うのか!」
「なぜわからないの!?人と妖怪、どちらも救える道があるはずよ!努力もしないで勝手に決めつけるなんて、私は恥ずかしいわ!」
『パンッ!』
頬に痛みが走った。ジンジンと痛みが増して、熱をもっているのがわかった。
「お父様なんて、大嫌い!」
私は家を飛び出した。
「あなた、また一華と喧嘩したの?」
「あぁ....」
お父様は、娘を叩いてしまった手を眺めて言った。
「正直に言ってあげたらいいのに。あれじゃあわ一華のほうが言ってること正しいわよ?」
「だが一華はまだ10歳だ。いくらなんでも幼すぎる.....」
「あれだけ立派なこと言えるのよ。あの子だって、もう子供じゃないわ」
「まったく....あの子は本当に君の若い頃にそっくりだ。なぁ、さくら?」
「あら、そーかしら?」
「君もよく妖怪と会っては、お父さんに怒られていたじゃないか」
お母様は後ろからお父様をそっと抱き締めた。
「....一華が帰ってきたら本当のことを話ましょう?大丈夫よ。あの子なら、きっとわかってくれるわ」
最初のコメントを投稿しよう!