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ー一華ー
日か沈み、辺りが暗くなり始めた頃、私は昼間千夜と会った野原に来ていた。
「どーしよ....」
闇は妖怪にとって、一番力が得られる刻。一人で外にいては、絶対に標的にされてしまう。だけど....
「帰りたくない....」
これが私の本音なのだ。
悩んでいると、どこからかヒラリと桜色の蝶が飛んできた。
「お母様の式神....」
ふと村に目を向けると、空が紅く染まっていることに気がついた。
「村が....!」
私は急いで村へ戻った。
これはただ事ではない。そう体が言っているのだ。
「これは....」
私は戻ってくるなり、自分の目を疑った。
炎は天までのぼり、人々は血を流し倒れていた。
どうしてこんなことに...。
私は少しでも村の人を助けようと、生きている人を探した。
だが、私の気持ちは無駄だった。生き残っている人間は一人もいないのだから....。
そうして自分の家の前まで来ると、倒れているお父様と戦っているお母様を見つけた。
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