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ゴーンゴーンと重いがよく澄んだ美しい鐘の音が鳴った。
それを合図に受験者は、一斉に森へと走り出す。結子も、鈍くゆっくりとした足取りで続いた。
ジョギング感覚で走っていると、いつの間にか周りに人がいないことに気づき、結子は不安気に視線を揺らす。
と、突如背後から甲高い叫び声が上がった。
驚いて足を止める結子。何事かと辺りを見回すが、暗くて先が見えない。
怯えて固まったまま動けずにいると、近くの茂みからカサカサと葉が擦れ合う音が聞こえた。
結子は、"何か"の気配を感じて身構える。その瞬間、その"何か"が勢いよく自分に向かって飛び出してくるのが見えた。
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