受験!

6/13
前へ
/24ページ
次へ
「ひ、はひ……はぁ……はぁ……。ま、だ着かないの?」 息切れ混じりにつぶやく。 「黙れ。私は最短距離しか走ってないんだ。かかってもあと10分だろう。感謝しろ、馬鹿」 「馬鹿じゃ……ないってば……はぁはぁ。 さっき……結子って教えたのに」 絶え絶えになりながらも、言葉を返す。 置いていかれないように、海夜の背中だけを見つめて重くなってきた足を前に前に動かす。 海夜の背中の向こうに光が見えてきた。 ――ゴールはすぐそこだ。怠くて息が苦しくて胸が痛いけど、もう少し――結子は、疲れきった心と体に鞭を打つ。 海夜に続いて、森を抜けた。 「つ、着いたあ……はぁ……」 気づけば魔犬もいなくなっていた。結子は、全身の力が一瞬でぬけてその場にへたり込んだ。 「いや、まだだ」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加