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「ここって・・・」
アヴィスの目には、空を飛ぶ飛行船が映っていた。
そして、目の前を行き交う人々の多さ。みな一様に楽しげな、しかしどこか殺気を孕んだ人までいた。
それらの大多数の人に共通しているのはーー
「なんで"ちょんまげ"頭の男とか、"かんざし"なんかさしてる女がいんの?」
ーーとても伝統的な格好だった。
「"銀魂"」
と、アリアは一言いった。
「え、なに、きんたぐふぅ! なんでいきなり殴るんだよ!?」
「不潔な発言は禁止。銀魂よ、銀魂。創世者は空知英秋。鍵は複数いるけど、『万事屋』が中心にあるわ」
たんたんと語るアリアに対し、アヴィスは恐る恐る質問してみた。
「あのーアリアさん。"鍵"ってなんのことでしょうか?」
・・・チャキーン(きらっ)。
「ちょ、うおっ! なんで大剣なんか持ってんの!? た、頼むから教えてくれ! なんか頭の中に『鍵ってなんのことなの?』って声が聞こえたんだよ、てか危ないから! 頼むから首筋狙わないで!」
剣を振り回してくるアリアに泣きついて懇願したところ、ようやく剣をおろしてくれた(た、助かった・・・)。
「・・・いいわ、どうせろくにマスターの話聞かずに戦闘訓練だけ行ってたあなたがわかるはずなかったわね。行く前に話してた内容も実はわかってなかったんでしょ」
「い、いやあのときは分かってた気がするけど、急になんか記憶がげふぅ! も、もうやめて!」
「・・・もしかしたら何者かの『知りたい』という欲求が、テレパシーとしてあなたに流れこんできたのかしら。だとすると、ひととおり説明しないといけないのだけど・・・」
付近を歩きながら物思いにふけっていたアリアは、みぞおちをさすっているアヴィスに向き直り、こう続けた。
「とりあえず、歩きながら話すわ。ちなみに目的地は万事屋よ」
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