プロローグ

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ヨーロッパに属する某国のとある地下施設。 そこには清みきった青空があった。 当然、それは映像による作り物なのだが、その下に晒されている、みずみずしい草花達からは生命の息吹きを感じた。 決して無造作に咲いているのではなく、それらは規則性を持ち、赤、青、黄、緑、紫と鮮やかなグラデーションを披露している。 到底、地下とは想像し難い、肥えた土地と空間が広がっていた。 そんな世界に魅了されたのか、そこに設けられている木製のベンチに、二人の男女が腰を下ろしていた。 彼らの間柄は、花たちをダシに愛を語らう仲と言うよりは、まるで父親とその娘のようである。
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