9人が本棚に入れています
本棚に追加
白く透き通った雪が、街中を白く染めていくのが見えた。
いつにない降雪量。ほんの数十分前まではなんの変哲も無かった街が、今では白銀の世界へと姿を変えていた。
教室の窓が曇った。僕は軽く右手で拭くと、にじんだ景色にもう一度目を向ける。
雪を溶かす薬――確か塩化カリウムだとか聞いたような気がするけれど、それを使った校庭にも、
山のように雪が積もっていた。先に帰った生徒のものであろう足跡も沢山残っている。
……まるで、長野とかに居るような、そんな気分だった。こんなに雪が積もったのを見たのは、ひょっとすると、生まれて初めてかも知れない。
本当は、今すぐにでも外に出て、あのやわらかそうな雪を踏んでみたかった。きっとスポンジのようにやわらかい感触なのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!