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かなり急峻な地形に大量に降る雨は、時折大規模な、地滑りを誘発して大量の土砂を海に供給して、養分補給の役割と同時に、大量の生命(いのち)の選択の役割も担っていた。 膨大な土砂はマーレ・パシフィコの狭い楽園を一気に駆け抜け、数多くの生命を深海まで運んでいく。大量の土砂に巻き込まれた生命達は、永い年月を経た後化石となって、この星の生命の後継者達に因って発見されるには、あと数億年の時間が必要だった。 但し、発見されるにはこの星のダイナミックな大地の運動と偶然の女神の導きが必要となるが、遠い未来に知的生命体がこの星に発生しこの星の過去の生命体に興味を覚えて発掘作業に精を出して、見つけるまで深海の泥の底で眠り続けるか、高い山脈の一角に地上で太陽の光を受けて、目覚めるかは、偶然の女神任せになってしまうだろう。 土砂崩れによって引き起こされる、大量死でもマーレ・パシフィコの海全体を死滅させるまでの破壊力が無かった事で将来彼等から派生進化した後継者を産む可能性は充分に考えられる。 今此処マーレ・パシフィコで生きる彼等にはそんな思いは思考はない。日々食物連鎖の環の中で己の本能の示す道のみ追いかけるのが精一杯だろう。
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