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長かった式が終わり、あっというまに帰る頃。
「圭、帰ろ-。 真人ももう来てるって」
携帯を見ながら言う優に、
「ごめん、ちょっと職員室行かなきゃいけないんだ-。 2人で先帰ってて-」
わかった-と、優は手を振って教室を出ていった。
唯一新しく変わった担任、藤崎薫に、用事を頼まれ職員室に行かなければならなかった。
新しい担任と言っても、1年からずっと和裁(着物などを作る教科)を教えてくれているおばあちゃん先生。
優しくておっとりした感じで圭は大好きだった。
ただ、人使いが激しいことを除けばだが。
―――――――――――
担任との用事をすませ、教室に鞄を取りに戻る途中。
たくさんの教科書などを抱えながら歩く、白衣の男性に目が止まった。
このあとの予定もなくただ帰るだけの圭は、声を掛けることにした。
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