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「なんでかな、…吉沢さんと話せて嬉しかったのかも」
少し口角を上げ圭を見る。
さらに顔が赤くなる。
(なんて甘い顔を…、やっぱ声掛けるんじゃなかったぁ)
これ以上は心臓がもたないので、話題をかえることにした。
「そ、そういえば先生。 いちばん奥の校舎って何があるんですか? 私たちの作業室があるのは知ってるけど」
職員室のあった校舎に、圭たちの教室がある。 服飾科関係の教室はこの校舎にまとめられていたのだが、一つだけ離れたところにあった。
「君たちの使う教室のほかに、オレたちの化学準備室があるんだ」
「そんなのあったんですね。 知らなかった」
「まぁ、オレしか使ってないんだけどね。 生徒はテスト前に少し来るぐらいで、ほとんど人はいないんだ。 だから使いやすくてね」
ふ-んと少し重たくなってきた教科書を持ち直しながらその化学準備室に向かった。
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