コーヒーカップの歳時記

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勤めに出て職種によっては正月休み、五月の連休、お盆休み以外にも休みが続く場合があります。 私などは休みが続くと仕事に出る気がなくなります。自宅に夕方戻ると ああうちのとうさん、父さん。したわ。 家族は素知らぬ顔してました。 もう一度言うよ。 うちのとうさん、とうさんしたよ。 つまり会社潰れた。 とうさんとは倒産で社長は給料未払いです。 どこかに逃げました。 その時、親父は おめな車の支払いどうするんだ。 路上でこじきでもするさ、このコーヒーカップを持って。 次に母は大声で。 早く他の仕事先探せ、このバカ。 家にただ置いて飯など食わせね。 路上でこじきでもする。 またそんなことを。 それだけにコーヒーカップは私には必需品で出掛ける時も持って行くこともよくありました。 東北地方の山や湖に出掛ける時はいつもそうでした。 十和田湖、猪苗代湖。栗駒山、岩手山、福島県には晴天の時に限り富士山が微かに見える山があると聞きます。 今となっては富士山を眺めコーヒーカップではなにも飲めせん。
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