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謁見の間に着き、中央の玉座を見て一行は驚いた。
玉座や部屋の豪華さに驚いたのではない。
「初めまして、東方よりの旅人達よ。
私がこの国の王、ユリア・ウエッジです。
まずは牢へ繋ぐなどといういきなりの無礼をお詫びします」
若く美しい女性だったのだ。
ヤマトでは、帝位に就く者がいないときに中継ぎの帝に女性がなることはあったが、必ず摂政が側にいた。
だが彼女は紛れもなくただ一人の女王だった。
彼女が現れると、全ての者が平伏したのである。
「私は遥か東の島国・ヤマトから参りました、カミシマ・トシミツと申します。
これなるは我が家人、ヒムラ・カオルとトキタ・サブロウにございます」
「変わった名前じゃ…。
そなたたちの国では皆、そのような名と出で立ちなのか?」
「左様にございます」
女王ユリアとトシミツ一行は、いろいろな話をした。
なぜ国を出たか、国ではトシミツがどのような身分であったか。
ユリアはトシミツ達を、この上なく気に入った様子だった。
ずっと黙っていた女王付きの者が、思い出した様に言った。
「陛下、来月の剣闘試合にこの方達をお誘いしてみては?
トシミツ殿達も、剣に自信がおありでは?」
「そうじゃな。
来月始めに、コロセウムで剣闘試合を催すのじゃ。
もしよければ、そなたたちも参加してみては?」
「殿が出られるなら、我々は遠慮いたします。殿にはかなわない」
カオルが言った。
「違いねぇや」
サブロウも苦笑いして言った。
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