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剣闘試合の当日。
コロセウムにはダリア中から人が集まってきていた。
正面の最上階の席に女王が坐り、
「我が親愛なるモーラ市民達!
今日は私が即位して最初の剣闘試合によくぞ集まって下さいました!
年に一度の剣闘試合、楽しんで下さい!」
側近がユリア女王の言葉を代わりに読んだ。
「今年はユリア女王様が即位して初めての剣闘試合だから、優勝した者には賞金以外にも特別な贈り物があるそうですよ、殿。
女王陛下と結婚、だったりして」
「ははっ、サブロウ、それはなかろう」
「まぁ殿、期待してますよ」
元老院議員達の挨拶の後、試合が始まった。
どの者もなかなかに強い。
賞金で雇い主から自分自身から買い取り、解放されたい奴隷達もいた。
テオドリックの試合が始まった。
テオドリックは始めの合図にも腰の木剣を抜かず、相手の出方を待つ。
焦れて相手が奇声を上げて飛び掛かった。
「きええぇぇっ!!」
瞬間テオドリックは相手の一撃を寸手でかわしながら懐へ踏み込み、木剣の柄で鳩尾を突き、怯んだ相手の鼻先に抜いた木剣を突き付けた。
「ま、まいった…」
「勝者、マクリウス長官!
次の者、前へ!」
トシミツは試合場へ歩きながら、「テオドリック…。あんなに強いのか…。
決勝は、私とテオドリックになりそうだ…」
カオル達に言い残して行った。
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