本編

5/21
前へ
/23ページ
次へ
「ちょ…え、何この浮遊感。鳥肌半端ないねんけど」 お婆さんが蹴飛ばした桃色のわいせつ物は、意外にも空中を舞うほどの威力を受けて、お爺さんの眠る小屋めがけて吹っ飛んでいきました。 ドーン!! と、でかい音がしたかと思えば、小屋の入口は見るも無惨な姿へと変わり果てていました。 「なっ…何の騒ぎでえ!?」 これにはさすがの酔いどれお爺さんも目覚めたようで、慌てて起き上がると、小屋の入口があったところに駆け寄っていきました。 すると、そこにもう入口はなく、あるのは奇妙で大きなわいせつ物だけでした。 入口に激突した衝撃で、わいせつ物の割れ目部分には、小さな亀裂が出来てしまったようです。 「おーい、婆さんやぁ!このでっかいのは何じゃーい!」 小屋の外で力を出し切ったお婆さんに、事情を尋ねるお爺さん。 この二人がこんなにも真面目に話し合ったところは、実に何年ぶりのことでしょうか。 お爺さんに酔いはまったく残っておらず、わいせつ物のこれからについて、お婆さんと真剣に話しているのです。 そんなことは露知らず、わいせつ物の中身はというと…… 「ん?何か裂け目出来とるやん。よっしゃ、こっから何とか出られそうやな」 割れ目の亀裂に気付き、内側から必死に奮闘していました。  
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加