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チュン、チュン…
穏やかな朝を演出する上で欠かせない、雀の鳴き声も聞こえてきた頃、山中の小屋で寝ている三人はというと……
「じゃあお爺さんや、洗濯してくるかんね」
お婆さんが洗濯物を持って、川に向かい始めていました。
「じゃあしりたろうや、何かよくわからんけども芝刈ってくるかんね」
お爺さんはなぜか、山に芝刈りに向かいました。
一人残されたしりたろうは、やることもないので、小屋の中を色々と物色し始めました。
その姿はさながら、どこぞの空き巣のようではございませんか。
「何やお尻大好き夫妻、あんまり金持ってないみたいやな」
戸棚にあった通帳を見てみると、本当に生活出来るのか、不安を覚えてしまうほどの額しか入っていませんでした。
「チュンチュン、おいこら」
すると、のどかな朝を演出してくれた雀の一羽が、しりたろうの元にやってきて話しかけてきました。
「ん?何やお前、出番終わったんとちゃうんか?」
「チュンチュン、おいらの出番はこれからだってばよ。お前さん、鬼退治に向かうらしいな」
「まだ何も予兆は来とらんけども、まぁそうなるやろうな」
当たり前のように雀と会話を続けるしりたろう。
はたから見たらその光景はまさに、ファンタジーそのものでしょう。
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