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バシャーッ!
ついに船の元まで追い付いた水しぶきは、目の前で高く跳ね上がり、その正体を現したのです。
「こっ…こいつは…!」
「何や、犬やないか。こんなところにいたんか」
そう、あれだけ捜しても見つからなかった犬だったのです。
やっぱりこの物語を作る上で、絶対不可欠な登場人物である犬には、何が何でも出演してもらう必要があったのです。
「わんわんっ!」
犬は船に飛び乗り、しりたろうに懐いているようです。
「何やお前、喋られへん設定なんか。可哀相になぁ。雀も猿のような爺さんのような化け物も、平然と喋ることを許されてるというのに…」
そんなことを話していたらいつの間にか、鬼ヶ島の岸まで来ていて、しりたろう一行は早速上陸することにしました。
鬼ヶ島……
島に足を踏み入れただけで伝わる悪寒と寒気、鳥肌。
どうやら、相当に寒いようです。
桃から誕生して以来、お婆さん達に何も衣服を貰えてないしりたろうは、今現在もすっぽんぽんとほぼ変わりない姿なのです。
周りの仲間も不憫そうに、生まれたばかりの姿のしりたろうを横目で眺めていました。
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