普通の魔法使い、即ち、泥棒

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あれから一週間程が過ぎ、僕の居候生活は順風満帆と言える程度にはうまくいっている。 僕の能力もそこそこ使えるようになってきた。 第六感の方は『第六感を扱う程度の能力』と霖之助さんに命名され、周囲の状況を把握するだけでなく、ちょっとした予知というか、第六感と言うだけあって中々の勧も発揮できることが発覚。 3日前、霖之助さんの捜し物を簡単に見つけた事もある。 把握の範囲も特訓するにつれて広がっている。 そして僕が身体を動かす能力だと思っていた力は想像より遥かに使える能力だったようで、自分の身体だけでなく他の物体を動かし、果てには浮遊させることが出来るのが判明。 しかし何故だろうか、表情は未だに微動だにさせることが出来ない。 そしてこれもまた霖之助さんの命名で『動かす程度の能力』とされた。 そんなこんなで皿洗いや掃除、外の品物の使い方を教えたり店番を手伝ったりする傍らで能力の特訓をすることが僕の日課となりつつある。 そして今も特訓の真っ最中。 外で複数の石を浮遊させ操る。 物の形や重さはあまり関係ないのだが、複数となるとまた難しいものがある。 まあ、それすらもコツを掴みつつあるので大分うまくいっている。 まさに順風満帆。 なんて考えている間にも数十の石をあっちにやったりこっちにやったり。 そのうちこれだけで例の弾幕ごっことやらが出来るようになったりして。 「琢磨君そろそろ、っておお!」 僕を呼ぶために家から出てきた霖之助さんの目の前を横切る石。 ちょっとした悪戯だ。 「いや驚いたよ。どうやら特訓はうまくいっているみたいだね」 「はい」 話では凶暴な妖怪もいるそうだし、抵抗力をつける意味合いでも特訓しておいて損はないだろう。 「そろそろ暗くなるから戻りなさい」 「はい」
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