普通の魔法使い、即ち、泥棒

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それから暫く霧雨さんの話を聞いて、と言うよりは半分聞き流して。 お茶も煎餅もとうの昔に無くなってしまった頃、僕は聞いてみたかった事を思い出した。 「霧雨さん」 「魔理沙でいい」 「魔理沙さん」 「さんもいらないぜ」 「魔理沙」 「なんだ?」 霧雨さん、いや、魔理沙が持っていたあの謎の物体X。 それについて聞きたい。 「あれは何」 「どれだ?」 「謎の物体X」 「は?」 「僕が奪った」 「ああ、これのことか」 そう言い再び謎の物体Xを取り出す魔理沙さん。 なんかヤバい気がしたから奪ったけど、実際どういった物なのか。 「これはミニ八卦炉って言って、昔こーりんから貰ったんだ」 霖之助さんのことか。 どうやら贈り物をするくらいには仲がよろしいようで。 「どんな物?」 「火炉さ」 「火炉?」 こんな小さい火炉で攻撃をするというのか。 「それにこれはただの火炉じゃない。聞いて驚くなかれ、ちょっとした火種程度の火力から山一つ焼き払える火力まで調節が利く上に、魔よけに開運効果もある。そして極めつけに緋々色金で造られたこれこそが私の宝物なのだ!」 とても嬉しそうにそう語る魔理沙。 その様子に思わず微笑ましい気持ちになる。 たけど。 それにしてもだ。 なんて物をなんて人に渡してしまっているんですか霖之助さん。 下手すれば僕は炭になるどころか蒸発するかもしれない火力に晒されていた訳でありまして。 それはまさに九死に一生。 正直笑えない。 いくら魔理沙でもそこまではしないだろうけど。
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