普通の魔法使い、即ち、泥棒

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「やはり、場所が駄目なのかねぇ」 溜息混じりに呟く霖之助さん。 そりゃあ、一番の消費者である人間が住む人里から離れている上に魔法の森の傍にあるのだから、客が来るはずもないと思うけど。 と思っていたら魔理沙も同じ事を思っていたようで。 僕が考えていた事と概ね同じ内容を魔理沙に言われた霖之助さんは一層深く溜息をついたのだった。 そして暫し談笑(とは言っても僕は笑えないので笑うのは専ら魔理沙と霖之助さんだが)をした後。 ふと外を見た霖之助さんが暗くなり始めているのに気付き、魔理沙に帰ることを勧めたが、その魔理沙はと言うと、 「別に晩御飯を御馳走してくれても罰は当たらないぜ」 この有様である。 こうしてなし崩し的に今晩の夕食の席に魔理沙がログインすることになるのであった。 次回へ続く。 なんて馬鹿みたいな事を考えてみたり。 「そうだ琢磨君。例の件、何とかなりそうだよ」 「本当ですか?」 質素な料理が並んだ夕食の席。 魔理沙が来ていなければ恐らくすぐに聞けていたであろう事を漸く聞く事が出来た。 「っと、琢磨の家とかの事か?」 しっかりと口の中の物を飲み込んでから話し出す魔理沙。 てっきりそのまま口を開いて、魔理沙汚ーい、な展開になるかと思ったが。 やはり仮にも乙女、口から物を吐き出すのはアウトなのか。 「おや、聞いていたのか?」 「ああ、聞いていたぜ」 僕も頑張って聞かせましたから。
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