普通の魔法使い、即ち、泥棒

11/14
前へ
/91ページ
次へ
「それと、次は仕事のことだけど」 こほん、と。脱線しそうな話を正す意味を込めただろう咳を一つして再び話を切り出す霖之助さん。 魔理沙の相手、お疲れ様です。 「いくつか候補を見付けておいたよ」 そんな複数も見付かるものなのかと感心。 流石霖之助さん、頼りになる。 「例えば荷物運び。文字通り荷物を運ぶ仕事さ。店の荷物を指定された場所に運ぶだけの仕事だけど、相当な重量と数があるから生半可な力じゃ雇えないらしい。でも、その点なら琢磨君の能力でどうにかできるだろうから僕は丁度いいと思うよ」 ふむ、確かに。僕の能力なら丁度いいかもしれない。 丸太ぐらいの大きさなら問題なく運べるのに加え、複数同時に素早く運べるから効率も良い。 これは、天職かも。 「他には、人里の警備とか寺子屋の教師補佐なんてものもあるよ。警備は妖怪が来ないかを見張ったり、争いを止めたりする仕事。教師補佐は文字通り教師の補佐。寺子屋の教師は一人しかいないから、外から来てある程度学のある君が来てくれれば楽になると言っていたよ」 成る程、そんな仕事もあるのか。 にしても寺子屋って。 また懐かしい物が。 とりあえず、警備の仕事は僕には向いていない気がする。 争いは嫌いだし、僕の能力じゃ遠くは見張れないし。 寺子屋の教師補佐ってのも、無表情な僕じゃあ子供達を怖がらせてしまいそうだ。 その一人で教師をしている人には申し訳ないけど、この仕事も僕には向いていないだろう。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加