普通の魔法使い、即ち、泥棒

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「ああ、それと付け加えるけど、最近は比較的平和で警備はそれほど大変じゃないって。争いが嫌いな琢磨君でもできる仕事だと思うよ。妖怪も迂闊には人里に手を出せないから戦闘の心配も少ないし」 ではその状況でなぜ求人があるのでしょう。 という疑問はこの際胸の中に押しやるとしよう。 「それと寺子屋の方は多分だけど子供達の相手をする必要はないと思う。琢磨君の心配は恐らくこれだろうけど、琢磨君の事情を話した上で補佐をして欲しいとの事だからね。別に苦しい訳ではないけどたまにでもいいから来てくれたら助かると苦笑混じりに言われたよ」 この短期間で大分僕の事を理解してくれたようだ。 僕の悩みどころをずばり、だ。 しかし教師補佐か。 その教師さんの状況を加味せずともそれなりに興味はある。 警備の方はそれでもやろうとは思えないが寺子屋ならいいかも。 とりあえず、荷物運びか教師補佐かの二択か。 「まあ、ゆっくり考えるといい。大事なことだからね。なんなら今度、挨拶を兼ねて様子を見に行ってみたらどうだい?」 成る程、それが良さそうだ。 「はい、そうします」 とりあえず一段落と言ったところが。 「やっと終わったか。待ちくたびれたぜ」 ああそういえば居たね貴女。 「もっとこうコンパクトに話をまとめようぜ。コンパクトに」 それなりにコンパクトだったと僕は思うが。 「まあいいや、とりあえずご馳走様」 「僕もご馳走様でした」 「お粗末様でした」 何にせよ、今日の霖之助さんの料理も美味しかった。
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