普通の魔法使い、即ち、泥棒

14/14
前へ
/91ページ
次へ
「やっと静かになりました」 「まあ元気な娘だからね、彼女は」 「むしろ元気過ぎかと」 「でも悪い娘ではないだろう?」 「……はい」 騒がしいし、図々しいけど、憎めない。 むしろ僕は好印象を抱いている方だ。 しかし考えてみると霖之助さん以外で話したのは魔理沙が初めてだ。 幻想郷初の友人と言えるだろう。 「淋しいかい?」 「いえ」 「ふふ、そうか」 「……皿、洗ってきます」 「ああ、頼むよ」 別に淋しい訳ではない。 本当ですよ。 言い当てられて恥ずかしくて逃げた訳でもない。 本当ですよ。 と、皿を洗いに行こうとしたその時。 「大変だ!」 先程まで聞いていた騒がしい声と共にドアが激しく開かれた。 「おや魔理沙、どうしたんだい?そんなに慌てて」 「私の、私の箒が誰かに盗まれた!」 「……あ」 忘れてた。 その後、隠していた箒を返して、今度こそ魔理沙は帰っていった。 また、静かになった。 それにしても友人、か。 皿を動かしつつあの騒がしい魔法使いを思い出す。 騒がしいが一緒に居て悪い気はしない奴。 幻想郷での初の友人が彼女というのもまあ別に、 「悪くない、か」
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加