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だがしかし。
僕の能力はこの程度の障害でへこたれるものではない。
太い丸太も動かすことが出来たのだ。この巨大達磨だって動かせるはずだ。
と言う訳で巨大達磨を浮かび上がらせるべく意識を集中。
それと同時にいとも簡単に浮かび上がる巨大達磨。
正直拍子抜けなくらいだ。
「ほっほーう!これは凄いですな!大の男4人掛かりでようやく持ち上がったこの達磨をこうもたやすく!」
おじさんは大層お喜びのようだが。
しかし流石に興奮し過ぎた事に気付いたのか、コホン、と咳ばらいを一つするとこちらに向き直った。
「いや申し訳ない。思わず年甲斐もなく興奮してしまいました」
「いえいえ、むしろ親しみやすい方で安心しました。きっと琢磨君も同じ気持ちだと思いますよ」
確かに厳しい人よりはずっと親しみそうです。
そんな同意の意味を込めて頷く。
「そう言って頂けるとありがたいですな。ところで、いつからこちらで働くので?」
おっと、どうやら勘違いさせてしまっているようだ。
「あの、非常に言い辛い事なのですが、本日お伺いしたのは琢磨君が仕事選びの参考になるように、見学をさせて頂けるかを尋ねにきただけなんです」
僕の言えない長文を見事に言ってのける霖之助さん。
「ああなんと。またもや申し訳ないです。どうやら早とちりしてしまったようで」
「いえ、本来なら先にこちらが先にお聞きしておくべき事でした。申し訳ありません」
「ではこの件はお相子としましょうか。で、見学でしたな。人に仕事場まで案内させましょう。君、話は聞いていただろう。琢磨君たちの案内を頼むよ」
「はい。分かりました」
案内をするために出て来たのは今まで控えていた先程の男性。
「ではこちらへ」
再び後を付いていく事に。
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