初めての人里

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「こらお前達。琢磨君が困っているだろう。離れなさい」 注意する番頭さん。 だが小僧二人は。 「ええー。別にいいよな兄さん」 「番頭もこのお兄さんが働いてくれたら嬉しいでしょう?」 と言って番頭さんの言うことを聞かないのである。 見た感じ小学校高学年になるかならないかくらいだし、このぐらいやんちゃなのが丁度いいのかもしれない。 「それはそうですが」 そしてこの子達に言いくるめられるのはどうかと思いますよ、番頭さん。 「いやいや、人気者だね琢磨君」 ここで来ました我が救世主にして偉大なる神、霖之助さん。 「霖之助さん、助けて」 「まあいいじゃないか。頼られるのも悪くないだろう?」 神は私を見捨てたようだ。 そういえば幻想郷には本物の神様がいるんだっけ。 信仰したら救ってくれるかなぁ。 なんて、現実逃避してみたり。 「なぁ、いいだろ?兄さん」 「お願いお兄さん。お兄さんが来てくれれば僕達も楽になるんだ。いいでしょ!」 うう、見えないが感じる。 少年達の純粋な眼差しをひしひしと感じるぞ。 だけど負けない、負けられない。 まだ寺子屋と警備の仕事も見ていないのだから。 それに近くに立っている大人二人。 ニヤニヤしていないで助けてよ。 後から帰って来た他の従業員が困惑しているじゃないか。 だけどそんな想いが通じる訳もなく。 僕は二人の攻めを耐えるしかないのだ。
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