初めての人里

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「さらに付け加えると頭突きの強さにも生徒達の間で定評があるらしい」 頭突き? 何ですかそれ。 あれですか、出来の悪い生徒への愛の鞭ならぬ愛の頭突き。 知識を直接受け取れ的な。 とりあえず今まで聞いた情報を総合すると、真面目な愛の頭突きアイドル教師という事になる。 いかん、人物像が全く浮かばない。 そうだ、それなら僕の記憶にあるそれぞれの単語の具体例を挙げて、それをミックスしてみようか。 まずは真面目。 これは昔隣の席だった出来過ぎな子の性格を拝借。 頭突きは言わずもがな。 アイドルは適当に思い付いた芸能人の顔を。 最後に担任だった神無月先生、またの名を髪無月先生の身体を融合させて…………っ! 思い浮かべて悶絶しました。 倉庫の一件でのダメージが残っていたのか僕がそんな馬鹿な事をしているうちに、第六感が子供の集まっている場所をキャッチ。 どうやら授業中のようだ。 と言うことは今丁度生徒の一人に頭突きをした綺麗な女性が例の教師さんか。 頭突きの威力もそうだが見た目と行動のギャップが酷い。 仕事の件について話した途端に強烈な贈り物を頂いてしまったりしないか不安だ。 痛みが無いとしても、今頭突きを喰らった生徒のように意識が飛びそうで怖い。 「琢磨君?」 僕が急に返事もせずに黙っていたからか霖之助さんが心配してしまったようだ。 「いえ、何でも」 ない訳がないとは流石に言えない僕。
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