初めての人里

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教師さんの授業が終わるまで迫り来る頭突きのイメージに苛まれながらしばし待機した後。 とうとう御対面の時が訪れてしまった。 ああ、まだ見ぬ幻想郷の神々よ、哀れな私めにどうか救いを。 「初めまして。私が寺子屋の教師をしている上白沢 慧音だ。君の事は霖之助さんから聞いているよ琢磨君。」 「初めまして。東海林 琢磨です」 駄目だ。 どうしても慧音先生の特徴的な帽子と整った顔立ちの間にある凶器に目がいってしまう。 霖之助さんも何故か話してくれないし。 「今日は教師補佐の仕事を引き受けてくれるのかい?」 「いえ、実は……」 こうなっては仕方ない、腹を括って正直に言ってしまおう。 言葉足らずながらも精一杯店での経緯を説明する僕。 お願いします、頭突きは御勘弁を。 そう、願いながら。 そして。 「つまり、本当なら見学に来るはずだったが子供たちの迫力に負けてしまい仕事を引き受けた、という訳か」 「はい」 僕の話を見事に要約してくれた慧音先生。 さあ、どう来る。 「私も仕事柄子供たちと良く接するからな。気持ちが良く分かるよ」 おお、セーフ! どうやら神様に願いが通じたようだ。 お礼にいつか拝みに行くとしよう。 しかし神様は何処にお住まいなのだろう。 やはり神様ならいつかの結界を管理するという巫女さんがいる博麗神社にいるのだろうか。
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