初めての人里

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まず最初に案内されたのは龍神様とやらの像だ。 なんと河童が造った物らしく、天気予報の機能も備えた優れ物だそうだ。 的中率は7割程度らしい。 モチーフとなった龍神様も実在するらしく、幻想郷に住む者の多くは龍神様を敬っているそうだが、その姿を見せる事は殆ど無いとか。 次に案内されたのは幾つかの店。 中には入らなかったが、どれも人気の店だそうで、確かにどの店も人が多かった。 また、霖之助さんは過去に人里で修業をしていた事もあったとも聞かせてくれた。 それと共に、人里で店を開かない理由も。 「僕は半妖だからね。普通の人とは老化の度合いが違う。それで他の人に不快感を抱かせてしまってはいけないだろう?」 そう語る霖之助さんの顔は何処か淋しげだった。 そして最後にやってきたのがお待ちかねの茶屋。 僕が一番楽しみにしてた所でもある。 なにせ、道中霖之助さんが頻りにその店の団子の旨さを僕に聞かせるのだ。 期待も膨らむというものである。 一度、特別団子が好きな訳ではないとぶっちゃけられる事もありはしたが。 目的の茶屋はこれまた繁盛しているらしく、茶を啜り団子を口にする人々が多く見られた。 僕も運ばれてきた団子を一口。 僕には味覚が無いが、やたら万能性の高い第六感のお陰で味を楽しむ事が出来るのだ。 実を言えば口にしなくとも味は分かるが、そこは気分の問題である。 しかし成る程、これは美味い。 人気があるのも頷ける。
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