常連、香霖堂にて一堂に会す

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いや待て、諦めるな僕。 いつかの漫画でも言っていたじゃないか、諦めたらそこで何とやらって。 いくら僕が夜一人でホラー映画を見る事が出来ない程に臆病だからと言って、ここで逃げては僕の僅かばかりの誇りが折れる事になる。 それは僕としても見過ごせない。 だがどうする、今の二人は闘争本能全開。 対して僕は逃走本能全開、まともに立ち向かう勇気はない。 それでも何か手段は無いかと、僕は辺りを必死に探る。 なんかぐにゃぐにゃした物、ボロボロの剣、全く見たことのないボードゲーム。 ん、ゲーム? そこで訪れる閃き。 昔ハマったゲームでの潜入ミッションの基本、音で気を逸らしその隙に侵入。 これも同じ要領で、いきなり二人を止めようとはせずにまずは二人の気を散らす事から始めたらどうだろうか。 気を散らせたその後で脱出するなり宥めるなりすればいい。 冴えているぞ僕。 ではミッションスタートだ。 まずは床へ無造作に積み重ねられたガラクタ達を能力で動かして崩す。 金属も豊富に含むそれらで構成された山は、想像を超える音と共に崩れ落ちていった。 「っ!」 狙い通りに二人は勢いよくその方向に振り向いた。 まずは第一段階完了だ。 次は二人の闘争本能を鎮めなければならない。 しかし、魔理沙はともかくとして、霊夢の方はやたら血に飢えている様子だからそう簡単にはいかないだろう。 だったら敵意の対象をずらせばいい。 でも何に? この場には僕たち四人しかいないからして、そのずらす先となる対象がいないのだ。 それなら。 いないのなら造ればいいじゃないか。
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