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「失礼します。あら?」
はい、本当に誰かが来たんです。
入って来たのは見るからにメイドやってますといった風貌の女性。
恐らく店の中に人が四人も居るとは思っていなかったのだろう、僅かに驚いた様子である。
「ああ、いらっしゃい咲夜さん。今日は何か買いに?」
「ええ、少し」
どうやら彼女も常連さんらしい。
しかも霖之助さんの言動から予測するに他の二人とは違って歴とした買い物客。
「ああ、レミリアんとこのメイドね」
「おう、咲夜」
「貴女達も来てたのね」
その二人もメイドさんとは顔見知りのようだ。
「それに知らない顔もあるわね。買い物客かしら、珍しい」
僕の方を向いてそう言うメイドさん。
僕を買い物客と思っているみたいだ。
「いえ、僕は居候です」
「ああ成る程」
普通居候の方が珍しかろうに、それでも常連さんが成る程と納得してしまうくらいにここには客が来ないのか。
「初めまして。私は紅魔館が主、レミリア・スカーレットお嬢様の従者にしてメイド長も務めさせて頂いております、十六夜 咲夜、と申します。以後よろしく」
身を正して上品に礼をする十六夜さん。
メイド長と言うだけあって見事な佇まいだ。
「東海林 琢磨です。よろしくお願いします」
それに応えて僕も可能な限り丁寧に礼を返す。
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