常連、香霖堂にて一堂に会す

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「ところで具体的には何を買いに?」 久しぶりの客だからだろうか、そう問い掛ける霖之助さんの顔は嬉しそうである。 「お嬢様が面白い物は無いかとおっしゃいましたので、何か楽しめそうな物を幾つか」 「楽しめそうな物か……。まあ好きに見ていってくれ」 「そうするわ」 店内を物色し始めた十六夜さん。 魔理沙と霊夢はお茶を飲みながらほのぼのと談笑している。 僕はそこら辺にある本でも読むとしよう。 数十分ほどして。 「めぼしい物が無いわ」 何も見付からなかったのか些か落胆している十六夜さん。 これは僕も探すのを手伝うべきか。 この店のお客なら僕にとってもお客なのだし。 「探すの手伝いますか?」 「そうして頂けると嬉しいわね」 ふむ、そうとは言ったものの。 このガラクタばかりの店でお嬢様とやらが気に入りそうな物はあるのだろうか。 そもそもどんな方かを知らなければ何を気にいりそうかも分からない。 「お嬢様とはどのような方で?」 「カリスマと気品と知性を兼ね備え、大人らしさを持っていながらも子供のような愛らしさまで持ち併せていらっしゃる素晴らしいお方です」 即答。 考えるそぶりすら見せなかった。 それ程の方なら僕も慎重に選ばなければならないだろう。
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