常連、香霖堂にて一堂に会す

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「さて、あのメイドも帰ったし私も帰るとするわ」 そう言って立ち上がる霊夢。 「おいおい、もっとゆっくり私と話していったらどうだ」 「話すってあんたばっかじゃないの」 あんたばっかじゃない、か。 あんたばかりじゃない、と、あんた馬っ鹿じゃない。 どっちの意味だろう。 流れと雰囲気で前者か。 「とにかくお茶ご馳走様。またいつか来るわ」 「今度来る時は溜まってるツケを払ってくれよ」 「気が向いたらね」 決して気が向く事はないだろうと誰しもに予感させる言葉を置いて、霊夢もまた同様に帰っていった。 てか、ツケてんですか霊夢さん。 ちょっと魔理沙っぽいかも。 何はともあれ、霊夢も帰っていって後は一人を残すのみである。 そういえば霊夢に帰りの挨拶してない。 そんなの気にする性格ではないのだろうけど、僕的にこれは失敗である。 挨拶は重要なのに。 「魔理沙は帰らないのかい?」 「いや、折角だから夕食をご馳走になるか」 またですか。 あ、そうだ、また黒い悪魔を使えば阻止できるかも。 「魔理沙」 「何だ琢磨?」 「魔理沙の家、片付いてる?」 「片付いてるに決まっているじゃないか」 良い笑顔で言い放つ魔理沙。 しかしそんな馬鹿な、魔理沙が家を片付けているなんて。 性格は大雑把なのに何故だ。 だがまあ物は試しだ、言うだけ言ってみよう。 「じゃあ、ゴキブリの心配は無いか」 僕がそう言うと良い笑顔のまま固まる魔理沙。 顔も青ざめている。 成る程、嘘か。
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