人里、再び

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「でも良く生き延びることが出来ましたね」 「はい?」 君は、生き延びることが出来るか。 という言葉を以前学校のドッジボール大会で友人に投げ掛けられたことを思い出した。 「外来人の方は妖怪に襲われて亡くなることも多いそうですし」 「奇跡的にも保護されましたから」 「本当に奇跡的ですね」 確かに今思えば本当に奇跡的である。 もし霖之助さんが僕を見付けてくれなければ今頃は狂暴な妖怪の一部になっていただろう。 再び感謝の念が沸き上がる。 「そうだ、自己紹介をしていませんでしたね。私は鈴仙・優曇華院・イナバです」 長っ。 「鈴仙・優曇華院・イナバさんですか?」 「はい。ややこしいでしょうから鈴仙で構いません」 自分でも自覚はあるのか。 「僕は東海林 琢磨です」 「では、東海林さんとお呼びしますね」 「はい」 それにしても久々に普通の人に会った気がする。 慧音先生は頭突きがあるし、霖之助さんもどこか捻くれた、普通とは言えないような気配があるし。 「私は人里から離れた所にある永遠亭という場所に住んでいるんですが、時々人里に薬を売りに来るんです」 「今もその最中のようで」 どうでもいいけど、最中って書いてモナカとも読むよね。 「はい。そしてその薬を造っているのが私のお師匠様なんです」 まさかそのお師匠様もウサ耳ですか?そして他にも誰かがいらっしゃるのならその方々もですか? そうだとしたらなんと素晴らしい、永遠てゐisマイヘヴン。
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