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米俵を引き連れて倉庫の外に出ると、やはり人々の注目を浴びた。
恥ずかしいので限りなく走りに近い早歩きで店に向かって進軍する。
結果、先に出たはずの小僧すらもあっという間に追い抜いて到着。
米俵を店の裏に運び込み僕は転身、再び倉庫へ。
「今戻りました。班長」
多分、一往復30分もかかってないだろう。
「おおう、早いな。実は荷物をその辺に置いて来ていたりしないか?」
「まさか」
「分かってる、言ってみただけだ。じゃあ次を頼む」
「はい」
その後、数回往復して自分の担当の荷物を運び終えると、丁度よく他の荷物運びも完了していた。
「よし、全て運び終わったから今日の仕事はこれまでだ」
「うわぁ、本当に昼前に終わっちゃったよ!」
「すげーな兄さん!」
次々と小僧たちの口から発せられる称賛の言葉。
こんなに褒められると照れるものがある。
「静かに。挨拶は終わっていない」
あまり口を開かない副班長の一声はざわついていた場を静めた。
その体格と顔と声の低さによる迫力はかなりのもの。
まさに鶴の、いや、熊の一声だ。
「明日も通常通りに仕事を開始するから各自遅れることのないように。では解散!」
「お疲れ様でした!」
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