幻想入り

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一一一一一 一一一一 一一一 一一 一 それは、いつものように外界からの漂流物を探している時のことだ。 「人……?」 地に倒れ伏せている人影。 それも、こんな危険な場所で。 一先ず近付いて様子を見る。 一見、普通の少年。 しかし気付いた。 人では無い。 いや、何が人では無いかと聞かれれば答えに詰まる所ではあるが、確かにそれは人ではなく、人型のナニカであった。 しかし着ている物を見る限り、外界の者であるのは間違いないだろう。 「まさか漂流物ではなく、漂流者を見つけてしまうとはね」 何にせよこのまま放置しておくのは忍びない。 些か危険かもしれないがつれて帰るとしよう。 僕は少年を担ぎ上げる。 少年は軽く、これといって邪魔になる訳でもなかった。 そうして僕は自分の店であると同時に自宅でもある香霖堂への帰路につくのだった。
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