執事の戯言

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更にもう一つ… 「学食急ぐわよ!」 いつもの冷静なお姿に似つかわしく、走って学食に向かわれるお嬢様。 「お嬢様!危ないので、どうかごゆっくりなされてください。学食なら私が準備いたしますので。」 「何バカなこと言っているの?学食は並ばないと好きなもの食べれないのよ。場所取りもあるし一人では無理でしょう?」 長いスカートが膝に当たってひらひらと上がる姿を見ると、どうしようもなくハラハラしてしまうのです。 『お弁当を持ってきてはいかがですか?』 と申しても、 『学食がいいの!』 と、おっしゃるばかり。 「A定食をお願い。」 お嬢様を席に残し、学食に並ぶ。 チラチラとお嬢様を見守るのだが、お嬢様は他の生徒と楽しそうに会話していらっしゃる。 私がそばに付いているときには有り得ない光景。 (もしかしたら、私が他の生徒との交流を妨げているのでは?もし、お嬢様に離れるように命令されて、学校でお嬢様にお仕えできないのなら、私はどうしたら…)
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