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「ねぇ、抜け出しちゃあない?」
「はぁ!?」
さっきから彼は、何を言っているのかが分からない。
分からないと言うより、頭が着いていかない。
「俺が楽しいとこ教えてあげるからさ。」
「えっいや…あの…。」
確かに外には出たい。
出ようと思えば出られるけど…。
でも、そのためには私に誰か付き添わなければならない。
私にそんな迷惑をかけてしまう資格は…無い。
「ほらっ。こっちおいで。」
彼は窓際で手招きをする。
優しい笑顔。
私は彼のこの笑顔が好きだ。
あまり人に心を開かない私を素直にしてしまう、この優しい笑顔。
本当に不思議。
まだ2回しか会ってないのに…。
今思えば、この頃にはもう彼は私にとって特別だったと思う。
いや…。
初めて会ったときから…そうだったのかもしれない。
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