哀しみ

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「一度にいろいろするの苦手だからちょっと無理だと思うんだが……」 確かに哲志くんは一度にいろいろするのは苦手なのは分かっていた。 私はちょっと考えてみる。 (哲志君に負担をかけないためにするにはどうしたらいいかな?やっぱり他の友達も誘ってみようかな?) 都ちゃんの基礎問題を教えるのに適しているクラスの友達をあれこれ考えてみた。 私は一番に思い浮かんだのが哲志くんの妹の三奈ちゃんだった。 (学年は小学校三年生だし丁度良いかもしれない) そう思い早速私は、哲志君に声をかけた。 「ねぇ哲志くん?」 都ちゃんの勉強を教えている最中の哲志君が振り向く。 「どうした霊夢?」 「三奈ちゃんに都ちゃんの勉強を教えてもらうのはどうかな?私は思うんだけど、哲志君に負担をかけないためにも三奈ちゃんが必要だと思うんだよ」 すると都ちゃんがそれに対して反応した。 「れっ、霊夢!?さすがにいい年の私が三奈ちゃんに教えてもらうのもと何かとプライドが傷つくよ!?」 「霊夢。ナイスアイデアだな!」 哲志君が了解してくれた。 「うん。ありがとう哲志くん!」 笑顔で私は感謝した。 「ちょっと!?おじ様の話は無視ですか!?」 都ちゃんの話はとりあえず無視した。 とりあえず哲志君は三奈ちゃんを呼びに行った。 都ちゃんはかなり落ち込んでいる様子だった。 「はぁ…霊夢。ちょっとはおじ様の気持ちも考えてよね……」 思わず溜め息をつく都ちゃん。 「基礎問題ができなかったら受験どうするの都ちゃん?」 すると都ちゃんは受験の言葉に反応して急にノートと問題集のドリルをありえないスピードでやり始めた。 (受験のことかなり気にしてたんだ……) そんなことを思っていたのもつかの間、なんと都ちゃんはドリルをいつの間にか完成してしまった。 都ちゃんは感動のあまりにガッツポーズをする。 「よっしゃ!!おじ様やればできるじゃないかニャハハハハハハ!!」 凄いテンションと凄い自信に満ちあふれている様子の都ちゃん。 「はっ、早いね都ちゃんハハハ……」 都ちゃんの勢いに押され気味になりつつも懸命に誉める。 「ニャハハハあったりまえじゃないか。私だってこう見えて受験の一つや2つ気にしているんだよニャハハハ」
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