哀しみ

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「じゃあ答え合わせするからノートと答え貸して欲しいんだけどいいかな?」 するとそれを聞いて都ちゃんは待ってましたと言わんかぎりにノートと問題集を渡してくれた。 (いや………問題集じゃなくて答えの冊子を渡してほしかったんだけど……) そう思ったのだけどかなり視線が痛いくらい私に向けられて言いづらかった。 このままだとラチがあかないので勇気を振り絞って言った。 「あのね都ちゃん……」 「ん?何かな霊夢?」 「答えの冊子貸して欲しいだけど?」 「えっ……?」 私の持っている物を見てようやく都ちゃんが気づいたみたいで慌てだした。 「ああ!!私てっきり霊夢に答えの冊子渡したと思っていた。ごめん!すぐカバンから出すらちょっと待ってね」 「都ちゃん。問題集と答えの冊子の表紙の色全然違うからね!?赤と青のちがいだよ!?」 私は思わず都ちゃんに突っこんでしまった。 しかし都ちゃんは私が言った事を気にせず答えの冊子が入っていると思うカバンを探していた。 (なんか私少し悲しいかも……) すると都ちゃんはカバンをさらに開けて探していた。 (まさか……都ちゃんは答えの冊子を忘れて来たのかな?) そう予想した。 予想は的中だった。 都ちゃんは焦りながら私に話しかけてきた。 「あわあわ霊夢!!私ったら答えの冊子を家に置いて来ちゃった!!どうしよう……」 「都ちゃん……。これじゃあ答え合わせが出来ないよ?」 すると横から誰かが来た。 「あら都子さん。どうなさいましたですの?」 声の主は三奈ちゃんだった。 「おじ様ったらドリルの答えの冊子を家に忘れてしまって答え合わせができないのよ」 「あらあらそれは一大事ですわね。よろしければ私の答えの冊子をお貸しいたしましょうか?」 意外な事に都ちゃんと私も驚いた。 「え?いいの三奈ちゃん?」 三奈ちゃんは笑顔でうなずいた。 (かわいいなぁ……三奈ちゃん) 私はひそかに思っていた。 三奈ちゃんの愛くるしい顔は誰でも可愛いと思えるけど反面イタズラが好きでちょっと複雑だった。 けど三奈ちゃんはいつもイタズラをするような子ではない。 普段はクラスのみんなと仲良くお喋りをしたり遊んだりする。 意外にも友達を大事にする子だ。
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