哀しみ

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昭和59年7月19日 あなたの言った言葉がきこえている。 液体状の粘質音を鳴らしながら。 「ごめんなさい……」 私は謝った。 けどまた聞こえた。 「ごめんなさいごめんなさい」 私はまた謝った。 けど私の話を聞いてくれない。 ただ頭のなかでみんなの言葉が聞こえるだけだった。 粘質音と共に……。 「た……助けて……」 私はその言葉を言った友達をみんなを殺してしまった。 金属バットと刃物で殺してしまった。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」 私は泣いていた。 ただひとりで泣いていた。 もうあのころにはもどれない。 楽しかった日々が走馬灯のようにながれている。 笑ったり、泣いたり、怒ったり、励まし会ったりした日々が流れていた。 今はもうそのような思い出づくりが出来ない。 ただ謝るしかなかった。 誰も頷いててくれない。 死んでいるのだから。 私はもう生きている心地がしなかった。 もし願いがかなうなら…………。 「お願いです神様。もう一度人生をやり直したいです。あの楽しかった日々に帰りたい……」 そして私は最後にこう言った。 「みんなごめんなさい……」 そして、私は血塗られた部屋で…………。
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