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ハーケン・ブロウニングは時空管理局の応接室に連れて来られた。なぜ、このような場所にいるかは数分前の事だ。
「…ッ! 一体何が起きたんだ?」
ハーケンは謎の光に包まれ、気がつくと見知らぬ土地にいた。彼は新しい開拓地を探す旅をしていた。
彼の記憶に、次元転移を起こす“アインスト”や“アグラットヘイム”は滅び、それらを招いた原因でもある“クロスゲート”は機能不全になっている為、該当しない。
ましてや、そのゲートのある“シュラーフェン・セレスト”や“ミラビンス城”にいたわけではない。
「考えるだけ無駄だな…コレは」
ハーケンは考えるのをやめ、自分の装備を確認した。
「よし、ちゃんとあるな」
ハーケンは父より受け継ぎし“ナイトファウル”と“ロングトゥーム・スペシャル”がある事に安心した。これが無ければ危険な状況を打破できなくなってしまう。
懐にしまってあった通信機を取りだすが、呼びかけても応答は無い。
「街が見えるな。ここがどこか聞けるかもしれないな」
ハーケンが街に向かって歩こうとした瞬間、「待て」と声を掛けられた。声のした方を向きながら、ロングトゥーム・スペシャルに手をかける。
閃光を目にした青年シオン・ナンブはその閃光の中心地点に来た。そこでバリアジャケットに身を包んだなのはと合流し、発見した人影に声をかけた。
「そこの者、止まれ」
人影は立ち止り、こちらを向く。人影は黒い鍔広の帽子に赤いスカーフを巻き、黒いコートと青いズボンを着ており、この世界の者とは程遠い恰好をしていた。
その恰好を見てなのはは、(西部劇に出てくるカウボーイみたい)と思い、シオンは、(この格好……まさかな)と記憶を掘り起こしている。ハーケンは、
(魔術師と……異界の戦士、か?)と思った。
姿を確認したお互いは隙を見せない。自然と辺り一帯が静寂に包まれる。
その沈黙を破ったのはハーケンだった。
「ホワイトガール&ブラックボーイ、ここはエンドレス・フロンティアか?」
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