序 章 炎の剣と黒傭兵

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 そして依頼の内容といえば、戦争や暗殺、要人護衛などが主だったものだから、機密情報が絡んでいる時も往々にしてある。  だから、もしも契約を途中で破棄するような事があった場合、雇い主であった旅団や国家が、逃げ出した傭兵を消そうと放つ追手の存在も考慮しなくてはならない。  個人対大勢力。  考慮をしたところでどうにもならないのだが。  元より、そういったことに陥らないようにするための相互システムが組まれてはいる。しかし結局のところ依頼を選ぶ傭兵次第、と言ってしまえばそれまでだ。  ウィリアムは木箱に目をやりながら思う。 ──まあ、この箱の中身が何であろうと、俺は俺の目的を果たすだけだ。  目的。  それは北方の故郷に置いてきた唯一の肉親と交わした約束。  ずいぶんと遠くへ来た。  、、、、、、、、、、、、、  あの約束を最期としないために自分はここにいる。
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